自然の体系 Systema naturae, sive regna tria naturae systematice proposita per classes, ordines, genera et species
植物分類学の父と呼ばれるリンネ(Linne, Carl von, 1707-78)は、スウェーデンに生まれました。医学・植物学を学び、1742年ウプサラ大学植物園長となったリンネは、それまで成立していなかった生物の体系的な分類法を考案し、属・種の概念を確立させるなどの功績を残しました。
1735年初版の『自然の体系』(Systema Naturae)では、"人為的分類法"(雌雄蕊分類法)が提唱されています。これは、すべての植物についてそのオシベとメシベに注目し、その数・形などの外形的特徴に基づいて24に区分する、というものです。この分類法は博物学に大きな影響を与え、日本でも宇田川榕庵の『植学啓原』(1835)にて「林娜氏之二十四綱」として紹介されました。
また、リンネは"二名式命名法"の考案者としても知られています。植物の命名に際して、属(属している分類グループ名)と種小名(固有の名)とをラテン語であらわし、両者を結合する、というものです。後の国際会議において、植物の学名は彼の1753『植物の種』(Species Plantarum)から、動物名はこの1758『自然の体系』(Systema Naturae)の第10版から採用することが決められました。以降、この方法は現在まで学名の基準として引き継がれています。
参考文献
- 『リンネと博物学 : 自然誌科学の源流』(1994年 千葉県立中央博物館)
- 西村三郎著『リンネとその使徒たち -探検博物学の夜明け-』(1989年 人文書院)
- 日本放送協会編 ; 荒俣宏講『博物学の世紀』(1988年 日本放送出版協会)
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