宗夢童子像

髪を稚児輪に結い、五七桐文のついた裃を着て腰に大小を差し、右手に金扇、左手に一枝の菊を持つ本像の像主は、上部に写されている南化玄興(妙心寺第58世)の賛から宗夢童子であることがわかる。本像については成瀬不二雄氏の研究がある。(「桃山時代童子肖像画の一資料」『大和文華』第44号)。成瀬氏は、宗夢童子とは天正15年(1587)から慶長5年(1600)まで姫路城主であった木下家定の三男延俊の子で、早世した吉六であろうとされている。本像の原本は、『重要美術品等認定物件目録』(昭和18年、文部省教化局編纂)に兵庫県姫路市の慶雲寺の所蔵品として「絹本著色宗夢童子像・南化ノ賛あり 一幅」(昭和15年9月27日指定)とあるもので、現在も同寺の所蔵である。(出典: 『日本肖像画図録』)