『大日本史編纂記録』とは
『大日本史編纂記録』(だいにほんしへんさんきろく) は、徳川光圀(1628-1701)による『大日本史』(*1)編纂にかかわって、水戸・江戸の彰考館や京都の出張所などの間で交わされた往復書簡の控えや写しの留書を中心とするもので、書簡総数は6,000点以上にのぼります。『大日本史』編纂にあたっては、江戸の諸大名、京都・奈良の寺社・公家など全国的史料調査が行われ、『保元平治物語』『太平記』をはじめとした古記録・古典籍の調査、校訂・考証が行われましたが、これらの書簡で言及される人名・組織名はのべ42,810件、古記録・古典籍名はのべ15,159件にのぼります。まさに歴史学・文学、儒学・国学思想など広領域にわたり、元禄期の出版文化の実態なども示す第一級の史料であるとされています。
*1 『大日本史』
全397巻からなる江戸時代の歴史書。明暦3年(1657)、徳川光圀の命により水戸藩が史局を設けて着手、明治39年(1906)に完成。神武天皇から後小松天皇(在位1382-1412)までの歴史を漢文の紀伝体で記述。
『大日本史編纂記録』の修復・電子化事業
この貴重な資料を保存し後世へ伝えるため、京都大学総合博物館・文学研究科では、修復・電子化事業を進めています。
修復前は、袋綴四つ目綴装の冊子248冊約1万丁で、江戸時代の綴装や修復の杜撰さが否めない状態でした。そこで、長期の保存を確保し、綴じ込まれて見ることができないのど部分(本を見開きにした時の真ん中の綴じ部付近のこと)の記述を明らかにするために、修復・電子化事業を開始しました。これまでに公益財団法人住友財団による文化財維持・修復事業、国庫補助金 国宝重要文化財等保存・活用事業(美術工芸品)の助成を受けたほか、文学研究科では「文学部・文学研究科基金-所蔵貴重資料修復」(文学研究科所蔵貴重資料修復基金より引継ぎ)を設置し、 総合博物館でも学内の経費(平成30年度全学経費)を獲得しています。
- 公益財団法人住友財団 文化財維持・修復事業助成
2017-2022年度 大日本史編纂記録(だいにほんしへんさんきろく)保存修理事業 [江戸時代] (重要文化財) - 2021-2023年度国庫補助金 国宝重要文化財等保存・活用事業(美術工芸品)
- 京都大学基金 文学部・文学研究科基金-所蔵貴重資料修復
修復された『大日本史編纂記録』は、順次「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ」でインターネット上に公開します。