京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 日本霊異記

《この作品について》


日本霊異記 にほんりょういき - 平安時代初期


 日本霊異記は、平安時代初期に作られた、日本で最初の仏教説話集です。仏教に関する異聞・奇伝を描いた短編物語が、全部で 112 編集められています。
 正しくは「日本国現報善悪霊異記」といいます。その名の通り、"因果応報"(善い行いや悪い行いに対する報い)の例となる話や、"霊験"(仏さまの力が実際にあらわれる)の話など、仏教の教えを判りやすく具体的に示すエピソードが多数おさめられています。
 時代背景は、大和時代から平安時代まで。日本での仏教普及をすすめた聖徳太子にまつわる話や、大仏建立の頃の行基の話、当時の庶民生活と仏教との関わりなどがリアルに描かれていて、まさに "物語による日本仏教史" ともいえるでしょう。
 この日本霊異記は、主に中国の仏教説話集のスタイルを踏襲しています。ここを起点として、のちの『今昔物語集』など、たくさんの仏教説話文学が生まれました。

 

日本霊異記(伴信友校蔵書)から、中巻・第24「閻羅王使いの鬼、召するところの人の賂を得て免す縁」
日本霊異記(伴信友校蔵書)から、中巻・第24「閻羅王使いの鬼、召するところの人の賂を得て免す縁」
閻魔大王の使いとして地獄の鬼に迎えに来られた商人は、それを逃れようとして、鬼たちに食事をもてなすが...。

 

《画像&資料について》

 上の画像は、文化 13 年の奥書がある伴信友校蔵書の写本です。中巻・下巻の中から一部が抜書されています。
●[霊異記・伴信友校蔵書]



《もっと知りたい》

【関連書籍】
日本霊異記・宇治拾遺物語 / 三田村信行 (21世紀によむ日本の古典 ; 8)
日本霊異記 / 原田敏明, 高橋貢訳 (平凡社ライブラリー ; 319)

 

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