京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 和漢朗詠集
《この作品について》
和漢朗詠集 わかんろうえいしゅう - 平安時代
『和漢朗詠集』は、平安時代に成立した詩歌集です。当時の代表的歌人の一人である藤原公任の撰によるものといわれています。「朗詠」とは、もともと、漢詩の秀句に旋律をつけて歌うことをいいました。この作品は、中国と日本の詩人・歌人によって作られた、そのように歌うのにふさわしい、優れた漢詩や和歌を集めたものです。
「立春」「早春」など、各題ごとに、漢詩と和歌が1~数首並立されるという構成で、漢詩文は約 590 首、和歌は約 200 首収められています。のちの説話集『十訓抄』では、公任は、自分の娘の結婚が決まったときに、婿への引き出物としてこの『和漢朗詠集』を作ったと伝えています。

《画像&資料について》
上の画像は、中院通秀による『和漢朗詠集』の写本です。中院文庫には、上巻のみ収められています。中院通秀(1428 - 1494)は、歌人を多く輩出した中院家に生まれ、内大臣従一位になった人物で、学者として名を知られていました。中院文庫には、慶長 11 年(1606)、中院通村によって写された巻子本(下巻のみ)も残されています。
●[中院通秀写・上巻(中院文庫)]
●[中院通村写・下巻(中院文庫)]
《もっと知りたい》
【関連書籍】
●和漢朗詠集 / [藤原公任撰] ; 川口久雄全訳注 (講談社学術文庫)
●和漢朗詠集 / 菅野禮行校注・訳(新編日本古典文学全集)
【Web】
●伏見天皇宸翰和漢朗詠集巻下残巻(文化遺産オンライン)
●和漢朗詠集テキストデータ
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