京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 孟子
《この作品について》
孟子 もうし - 紀元前 4 世紀後半
孟子 (前372 - 前289) は、中国・戦国時代に活躍した思想家です。
教育熱心な母のもとで育った (孟母三遷・孟母断機) と伝えられる孟子は、孔子の門人として、その儒学思想を学んでいます。群雄割拠の当時、諸国の王に対する王道・儒学の師として、理想の君主、仁義・道徳による政治などを説いてまわりました。
孟子の思想としてもっとも代表的なのが、「性善説」です。人間はもともと善い心を持っているはずである、が、ときに欲によって悪い行ないをしてしまう、だから、礼を身に付け教育を受けることによって、欲を抑えつけ、本来の善・仁の心を持ち備えるべきである、というような考え方です。孟子は、このような思想に基づき、仁義・考悌・道徳の重要さ、さらには、君主がそれらによって社会を治めれば民衆に平安がもたらされる、と説きました。また、道徳政治を実現するために必要な経済的安定と、その具体策にも言及しています。
このような孟子の教えが記されているのが『孟子』です。いまでこそ四書(論語・孟子・中庸・大学)のひとつとして、『論語』とならぶ古典とされていますが、宋の時代になるまではあまり重要視されていなかったようです。
ちなみに、「五十歩百歩」の例え話も、この『孟子』に収録されています。
《画像&資料について》
上の画像は、永正年間 (1504 - 1521) に清原宣賢によって書き写された、孟子の写本です。清家文庫におさめられている貴重書。
●[写本・清家文庫]
●[版本・清家文庫]
《もっと知りたい》
【関連書籍】
●孟子 / 内野熊一郎 (新書漢文大系)
●孟子 / 小林勝人訳注 (岩波文庫)
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