京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 大鏡

《この作品について》


大鏡 おおかがみ - 平安時代後期


 大鏡は、平安時代後期に作られた歴史物語です。
 ある寺で、大宅世継・夏山繁樹と名乗る二人の老人が話をしています。若侍が歳をたずねると、それぞれ 190 歳・ 180 歳だと言うのです。二人は、居合わせた人々の前で、平安時代前期から中期にかけての出来事について、語り始めます。
 語られるエピソードは、文徳天皇 ( 850 年) の代から後一条天皇 ( 1025 年) の代まで。各天皇にまつわる話や、当時の出来事、有力貴族であった藤原氏の面々の政治上のかけひきについてなど、まさに見てきたかのような歴史物語が披露されます。特に、平安史上もっとも有力であった政治家・藤原道長が権力を獲得していく経緯など、こと細かに綴られています。
 藤原氏に対しやや批判的で、一族の面々の策略・言動が赤裸々に描かれています。語り手の批評や感想もときどきはさみこまれています。歴史上の事実を淡々と羅列するというわけではなく、人間的かつ臨場感あふれるエピソードが、"歴史書" ではなく "歴史物語" としての大鏡を印象づけていると言えるでしょう。

 

大鏡(近衛文庫本) 65代花山院から。
大鏡(近衛文庫本) 65 代花山院から
藤原道兼が、政治的かけひきから、花山天皇をむりやり出家させ、天皇を交代させようと画策する。「私もいっしょに出家しますから」とうながした道兼は、天皇が先に出家しおわった途端、「ちょっと父に会いに・・・」と逃げる。


《画像&資料について》

 上の画像は、近衛文庫におさめられている大鏡の写本です。新編日本古典文学全集の底本に採用されています。
●[大鏡 天、地、人巻・近衛文庫]
●[大鏡 3巻・平松文庫]


《もっと知りたい》

【関連書籍】
大鏡 : 全現代語訳 / 保坂弘司 (講談社学術文庫)

【Web】
大鏡テキスト

 

京都大学所蔵資料でたどる文学史年表


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