京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 宇津保物語

《この作品について》


宇津保物語 うつほものがたり - 平安時代中期


 宇津保物語は、平安時代に作られた伝奇物語です。長編の物語作品としては日本初になります。作者・成立年とも不明ですが、『源氏物語』や『枕草子』の中でその一部が紹介されており、それ以前には存在していたと考えられます。
 この物語では、琴の音楽のすばらしさが中心に描かれています。清原俊蔭は、難破・流浪の末、琴の名器や秘曲を天人・仙人から授けられ、その才能がすばらしいことから、仏にたたえられて子孫繁栄を約束されます。彼の名琴・秘曲は孫の仲忠や曾孫の犬宮へ伝承されていきます。その過程で、仲忠とその母が貧しさから北山の木のほら穴(うつほ)の中で生活したり、貴宮をめぐる恋物語、政治的に成功していく物語など、ストーリーはドラマチックに展開していくのです。
 この宇津保物語に登場するさまざまな場面・エピソードなどが、のちの『源氏物語』にも大きく影響し、受け継がれています。

 

宇津保物語(奈良絵本)から。
宇津保物語(奈良絵本)から。
北山の木のほら穴(うつほ)に母と二人で住む、少年期の仲忠。祖父俊蔭から伝わる琴の技を習っている。その素晴らしい琴の音に、猿たちが魅了されている。



《画像&資料について》

 上の画像は、奈良絵本(朱・緑青・金・銀などで色彩あざやかに描かれた挿絵がついた、物語の本。室町時代半ばから江戸時代初期に作られた)の宇津保物語です。全 5 冊で、物語の序盤である仲忠の少年期までで終わっています。
 京都大学貴重資料デジタルアーカイブでは、計 2 点の宇津保物語の画像を公開しています。
●[宇津保物語・奈良絵本]
●[宇津保物語・近衛文庫]

 

《もっと知りたい》
【関連書籍】
宇津保物語・俊蔭 : 全訳注 / 上坂信男, 神作光一 (講談社学術文庫)
竹取物語・大和物語・宇津保物語 (新潮古典文学アルバム3)

【Web】
『うつほ物語』への招待

 

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