レコードID
RB00013172
出版年
1687
タイトルヨミ
ツボスミレ
別タイトル
ローマ字タイトル: Tsubosumire
冊数
1
出版年(和暦)
貞享4
形態・版情報
24.1×18.2cm 袋綴
写刊の別
写
内容記述
源氏物語の注釈書にして伝本甚だ稀なり。本書は奥に「貞享四年五月中之七月於角田草庵記畢」とある。絹表紙を付す。(出典: 鈴鹿目録中巻 p.94)
注記
跋末「貞享四年五月中之七日於角田川草庵記畢」
「右此一冊者源氏物語きりつほより夢の浮橋にいたるまて/巻々の巻名しるしつくるものなり。諸抄に巻々の巻名為注雖も/或者以哥なづけしとはあれと、その引いたせる哥に注なし。もつとも/おなし巻にある哥なれはそのところに注なきにしもあらずとしかりと/いへと、まつひらきみんにそのところに注なけれはその哥の心知れかたし。/その哥の心しらされは、その巻の心たとり知る事かたかるへし。依之其哥の説て或は源か言葉等又は巻の心以哥なつけしとあれ共、/その引いたせる哥のなきには、一部のうちを勘へ名に付/たらんと思ふ哥をしるし為注之。まことにいはゝ桂のかたつ枝にも/侍るへし。若此物語のまき/\の題号の心たとり知らんとおもふ人の/ためにはなるへきかも。いつれのものかたりにも、先題号をのふる事/さたまれるの儀なり。いはんや此物かたり一部の巻々の心その/いはれなきにしもあらす。代々の先達のしるしをかれしなとも水もゝら/さすしるしぬ。此物かたり一部のたいかひ、予か慈父常軒ゑらひし/窺源抄に有。さるひよりまへにしるしぬきりつほより/帚木にいたり、おとこ女の交りよりことをこり、春の花の色よき/すかたをしたひ、あるはまされるをおとしめそねみ、桐壺更衣の死別を/ふかくしたひ給ふて政をさへおこたらせ給ふ御おもひのほと、もろこし/にてもなき事にもあらす。我か朝にて、いにしへ天地ひらけしときに/伊弉諾尊・伊弉冉尊、立於天浮橋之上、共為夫婦とやまとふみにいへり。/是をなん男女の交りの始めといふへし。伊弉諾尊、追伊弉冉尊をて/黄泉に入ませしと有もかゝる事よりをこれる也。されは桐壺の御思の/書いたせるさま、以是可思。あへてゆへなきにあらす。又は源氏の君の/夕㒵のはかなき御命のさためなき御ちきりのほとも、六条御息所の/なかき御恨もかゝる事よりおこりぬうき世のことはり、ひとつとして/もれさらんや。色にふけり詞にかざるにあらす。只、無情迅速盛者必衰/□□□□しらしめんため、いきとし生るうちのたのしみかなしみ、まことに/蜻蛉の夕をまつ心地して、一生はたゝ幻のことし。はては化し□とけふりと/立さりぬ。色にふけりたはふるも仏の道の媒とそなりぬ。わが國の人として/此物かたりの源意のほとしらさらむは無下の事なるへし。此ものかたりを/たとり知らんとおもはゝ和歌をてならふ始とすへし。俊成卿のいへるにも、/源氏見さらむ哥読は無下の事とそ。やまとうたをすきたまはゝおのつと/此物かたりにこゝろさしあるべし。それ和歌はいにしへ陰神陽神と□□の/まくはへしたもふとき、陰神、あらふれしやうましおとこにあひぬおのた/まへは、陽神唱曰、あらふれしうましおと女にあひぬとのたまふを始とする也/されは、古今序に紀公かけるも、いきとしいけるものいつれか哥をよま/さらんや。それ哥はたけき武士の心をもやはらけ目にみえぬ鬼神をも哀と/おもはするは哥の道とそ。細川の名にかしの娘、人の許へ嫁つけかときに、/帚木の所定を書移て娘の方へおくられしと式人の申せし/さて、此書は予か/又隅田川の邊□屋の別業有てまかりけれは、おほやけのいとまことに、/たま/\ひまをもとめて、窺原抄の源窺草の店のつれ/\ことに、書付ぬ。/又かすけ□なれは、せめては一部の題号なりと書侍らんとしきりにもよほされ、/あやしの筆とり、やう/\書あつめ是をつほ菫となつく。あさか山の浅き/□を書あらはさは、いまも見ん後みんひとにもいとてはゆかるへし。そのこゝろ/あまれりやたらすやといふへきものか。/貞享四年五月中之七月於角田草庵記畢」
請求記号
4-30/ツ/1貴
登録番号
86787
国書総目録
(5-765p.) 津ほ菫 || ツボスミレ
所蔵
京都大学附属図書館 Main Library, Kyoto University
コレクション
サブコレクション
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