京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 池大雅

《この作品について》


池大雅 いけのたいが - 江戸時代・1723 - 1776


 池大雅は、江戸時代中期の画家です。大雅堂、霞樵など、多くの号を持っています。
 池大雅は、享保8年(1723)京都に生まれました。4歳の時に父を亡くし、母と二人で暮らしますが、幼い頃から漢文や書道に優れた才能を示します。15 歳で扇屋を構え、扇子に絵を描いて生計を立てました。
 後に柳沢淇園の教えを受け、舶載の木版画譜によって中国南宗画を学ぶなどし、独特の画法を確立しました。また、中国絵画の影響を受け、筆の代わりに指を用いて描く指頭画も残しています。
 彼の画法が完成するのは 40 歳ごろのことで、この頃に描かれた作品の中に、特にすぐれたものがみられます。彼の代表作には、高野山遍照光院の襖絵や、「十便図」「楼閣山水図」などがあります。また、書家としても有名です。
 池大雅は、安永5年(1776)、54 歳で没しました。なお、妻の池玉蘭も、画家として活躍した人物です。彼の門人には、青木夙夜、木村蒹葭堂などがいます。

 

『大雅堂画法』(一般貴重書)巻1
『大雅堂画法』(一般貴重書)巻1



《画像&資料について》

 上の画像は、池大雅の『大雅堂画法』です。3巻3冊で、文化元年(1804)に、京都、大坂、江戸で出されました。これは、絵手本と呼ばれる、絵の教習本のようなものです。これを手本にして、人々は池大雅の画法を学びました。本書は、縦長で、五つ目康煕綴という、唐本風の装丁がなされています。池大雅が、中国南宗画の影響を受けていることから、このような唐本風に仕立てられたものと思われます。

●[大雅堂画法 3巻・一般貴重書]


《もっと知りたい》

【関連書籍】
池大雅 / 池大雅 [画] ; 日本アート・センター編(新潮日本美術文庫)
池大雅 : 人と芸術 / 菅沼貞三著(二玄社)
大雅と応挙 / 小林忠, 佐々木丞平, 大河直躬編著(講談社 日本美術全集第19巻)

 

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