Flora Sibirica, sive historia plantarum Sibiriae シベリア植物誌

グメリン (Johann Georg Gmelin、1709~1755) はドイツ生まれで主にロシアで活躍した博物学者。若干21歳でサンクトペテルブルグ大学の教授になっていたグメリンは、ベーリング (Vitus Behring) の率いる大規模なカムチャツカ探検で科学的な調査を担当する3人の科学者の1人として選ばれ(他の2人の専門は天文学と人類学)、1733年から10年にわたってシベリアの動植物や地質、地勢の調査をおこなった。グメリンに同行した2歳年下の学生クラシェニンニコフ (S. Krasheninnikov) は博物学の他にシベリア各地の民族の言語や文化なども記録している。「シベリア植物誌」はこのときの観察や採集した標本にもとづいたもので、1000を越える植物種が記載されている。

(解説: 疋田努,井上敬 / 協力: 永益英敏,山極寿一)