2023-03-29
京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金により東洋星図・地図5点を公開しました
京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金により文学研究科・理学研究科が所蔵する東洋星図・地図5点を公開しました
『混弌歴代國都疆理之圖』は、16世紀に明で製作された地図の写本が朝鮮王朝に伝わり、そこでタイトルと朝鮮半島の地図が書き加えられて成立したものです。今回デジタル画像を公開した文学研究科所蔵資料はそれを筆写したものと考えられます。地図や跋文等をはっきり読み取ることができる貴重な資料です。
文学研究科所蔵『混弌歴代國都疆理之圖』
『天象列次分野之図』は、朝鮮王朝の太祖の時代に製作(初刻)された石刻星図で、粛宗の時代に複製石碑が製作(再刻)されました。今回デジタル画像を公開した文学研究科所蔵・理学研究科所蔵の資料はいずれも再刻の拓本です。
貴重資料デジタルアーカイブでは他にも理学研究科(宇宙物理学専攻図書室)所蔵の初刻・再刻のデジタル画像を公開しています。並べて見ることで初刻と再刻の違いはもちろん、再刻の拓本同士の差異も見ることができます。
いずれも『天象列次分野之図』(左:文学研究科所蔵、右:理学研究科所蔵)
レコードID | タイトル | コレクション |
RB00033993 | [天象列次分野之圖] | 文学研究科所蔵 |
RB00033994 | 混弌歴代國都疆理之圖 | 文学研究科所蔵 |
RB00033991 | 天文圖(南宋淳祐天文圖) | 理学研究科所蔵 |
RB00033992 | 天象列次分野之圖 | 理学研究科所蔵 |
RB00033954 | 天文成象 | 理学研究科所蔵 |
今回公開した資料のうち、理学研究科所蔵の「天象列次分野之図」「天文圖」「天文成象」の3点は、いずれも京都大学花山天文台の初代台長である山本一清博士の旧蔵資料です。
本資料のデジタル化・公開は、京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金への寄付者の皆様のご篤志により実現しました。厚く御礼申し上げますとともに、今後も貴重な資料を大切に保管して後世に伝え、同時に学術研究・文化振興貢献のために活用できるよう、尽力いたします。
参考文献)
井上充幸「東アジアにおける楊子器図の展開」(藤井讓治, 杉山正明, 金田章裕編『大地の肖像 : 絵図・地図が語る世界』京都大学学術出版会, 2007)pp. 282-297.
https://m.kulib.kyoto-u.ac.jp/webopac/BB02406995
冨田良雄「東洋星図(花山天文台所蔵)」(『静脩』, 51(3), 2014, pp. 4-5.)
http://hdl.handle.net/2433/191072