2025-01-30

附属図書館所蔵「菊亭文庫」より『文机談』など7タイトルを公開しました

「菊亭文庫」は西園寺実兼の四男兼季を祖とする菊亭家伝来の文書・典籍・美術品のコレクションです。菊亭(今出川)家は清華家(太政大臣に就任できる公家の家柄)であり、また琵琶の演奏を家業としていました。そのため、本文庫には朝廷の諸公事に関わる資料や音楽書が多く含まれています。また自筆本・古写本を含む各時代の日記資料も本文庫の特徴です。
「菊亭文庫」は大正10, 12(1921, 1923)年に故菊亭公長侯爵から永久寄託され、その後2021年1月に菊亭家関係文書・美術品と合わせた総点数1,833点からなるコレクションとして附属図書館に正式に寄贈されました。 
 

▼菊亭文庫


文机談』は、文永年間(1264-1275)に成立した、琵琶を中心とする音楽説話集です。琵琶の流派や伝承者の逸話を生き生きと描いており、平安時代から鎌倉時代にかけての音楽史を知る上で重要な資料です。第二冊には、琵琶をたしなんだ鴨長明の「秘曲づくし」の話が記されています。
菊亭家の伝では作者である文机房隆圓(ぶんきぼう りゅうえん)の自筆本とされますが、実際は成立から間もない鎌倉時代末期の書写本と見られています。『文机談』の伝本九種の中で、菊亭本が最も古く、落丁はあるものの五巻五冊が現存します。
第二冊から第五冊は、消息(手紙)などの紙背(裏面)を使用して記されています。電子化にあたり、劣化した紙を修復するとともに、本を解体して全ての紙背文書を撮影しました。今回初公開となる紙背文書が精査されることで、今後、書写年代の確定などが期待されます。

文机談
『文机談』左:隆圓の署名と花押、右:第一冊冒頭

 

その他、戦国時代の公卿・万里小路惟房(までのこうじ これふさ; 1513-1573)の自筆日記である『惟房公記』や、菊亭家の邸宅指図など6タイトルを公開しました。

邸宅指図
邸宅指図


2025年1月30日現在、京都大学貴重資料デジタルアーカイブの公開件数は、25,517タイトル、2,154,407画像となりました。
 

レコードIDタイトル著者請求記号コレクション
RB00028140 文机談(僧)隆円著菊||フ||12菊亭文庫
RB00028331 白馬節会 菊||巻||82菊亭文庫
RB00028346 日次記 不足藤原宣胤并寫菊||巻||99菊亭文庫
RB00028352 惟房公記 菊||巻||103菊亭文庫
RB00028364 [不知記] 菊||巻||114菊亭文庫
RB00028365 [不知記]中山定親記カ菊||巻||115菊亭文庫
RB00034905 邸宅指図 文書9-25菊亭文庫