中井家絵図・書類 儀式之部 天皇即位関係資料
附属図書館が所蔵する貴重資料コレクション「中井家絵図・書類 儀式之部」の中から、天皇の即位に関する絵図4点をデジタル化・公開しました。
「中井家絵図・書類」は、江戸幕府京都大工頭の中井家に伝えられた資料群で、京都御所、二条城、下鴨神社をはじめとする諸寺社等建築関係の図面、古文書、地図などが含まれており、「禁裏之部」「幕府之部」「社寺之部」「地理之部」「儀式之部」等に分類されています。
今回デジタル化・公開した「儀式之部」に含まれる資料は、江戸時代の桜町天皇(在位1735-1747)[RB00025164, RB00025165]、後桜町天皇(在位1762-1771)[RB00025166, B00025167]の即位に関する絵図で、特に『享保二十乙卯歳十一月三日御即位堂上堂下飾御規式之圖并於清涼殿禮服御覧圖』には、高御座とそれを守護する玄武、青龍、朱雀、白虎の四神、列席する宮廷人が色鮮やかに細やかに描かれています。本資料のデジタル化・公開は、「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金」に寄せられた寄付者のみなさまのあたたかいご支援により実現しました。
折しも2019年5月1日に新天皇が即位されますが、これを機に、古文献に彩り豊かに残された歴史の営みに想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
資料のデジタル化と京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金
大型の絵図は、非接触型高精細大型上面スキャナーで撮影してデジタル画像を作成しています。資料の周辺に設置したフレームに沿ってスキャナーを縦横に動かし、ライン状の画像を複数作成します。その画像を接合して、1枚の画像とするのです。
絵図や地図、図面など、折り畳まれた大型資料を閲覧するには、資料を安全に広げられる場所を準備し、資料に負担をかけないように細心の注意を払う必要がありますが、デジタル画像では、ビューワーの機能を使って自在に拡大縮小、移動をしながら表示できる利点があります。京都大学図書館機構では、原資料を直接閲覧する重要性を尊重しながら、資料の長期保存にふさわしい環境を確保するために、資料デジタル化を積極的に推進しています。
資料デジタル化を進めるにあたっては学内経費や各種外部資金への応募を行っていますが、図書館機構では、2018年7月に京都大学基金のプロジェクト支援基金として「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ基金」を設置しました。
これまで大切に伝え継がれてきた貴重な古典籍資料を、社会の共有財産としてデジタルデータの形で世界に発信することにより、学術研究を推進し教育や文化の発展に寄与することが、わたしたちの願いです。