蔵経書院文庫は、京都蔵経書院が寺院あるいは僧堂の宝庫または筐底より採集した仏典とその類縁典籍の集積で、「蔵経書院本」「日蔵既刊本」「日蔵未刊本」「真宗関係本」で構成されています。蔵経書院本が『大日本続蔵経』の、日蔵既刊本が『日本大蔵経』の底本であることは、他の追随を許さない誇るべき特色です。また、日蔵既刊本、日蔵未刊本は、日本仏教各宗の開祖および高僧知識の撰述類が網羅され、他に類本を求めることのできない稀書も少なくありません。
1. 蔵経書院本
『大日本続蔵経』(蔵経書院刊; 明治38年4月-大正元年)の底本となった仏典類です。
『大日本続蔵経』は中野達慧師が編纂主任となり、先輩、師友の援助を得て名寺の秘庫を探り、あるいは古刹の珍襲を集めて、印度支那の950余人の著述を選集し、1,660部6,957巻に彙輯した全150套、750冊の仏教典籍の一大宝蔵です。『大日本校訂訓点大蔵経』には編入することのできなかった、多数の印度支那の撰述章疏類が続補編入されています。
大正3年、蔵経書院専務取締役松村甚左衞門氏より4,270余冊を寄贈されました。
2. 日蔵既刊本
『日本大蔵経』(中野達慧編; 蔵経書院刊; 大正3年-10年)の底本と、その参考文献の収集です。
昭和8年4月、中野達慧師より798冊を寄贈されました。
3. 日蔵未刊本
日蔵未刊本は、『日本大蔵経』第2部の刊行を予定してその底本として収集された、詩文、史伝、雑筆等日本仏教に関する雑纂的名著集です。『日本大蔵経』第2部刊行の試みは結局実現しませんでしたが、収集されたこれらの資料には、日本仏教各宗の開祖および高僧知識の撰述類が網羅され、他に類本を求めることのできない稀書も少なくありません。
『日本大蔵経』は日本仏家300余人撰述の教典、律論および章疏等945部2,200巻の原典が編入された48巻の日本独自の蔵経です。
日蔵未刊本は、中野達慧師より大正14年2,065冊を購入したものです。
4. 真宗関係本
真宗関係の仏書です。
大正3年、蔵経書院専務取締役松村甚左衞門氏より721冊を寄贈されました。
(参考: 京都大学附属図書館編「京都大学附属図書館六十年史」第3章第3節)
KULINE書誌件数は、蔵経書院本 1,649件、日蔵既刊本 360件、日蔵未刊本 869件、真宗関係本 372件、合計 3,250件です。
蔵経書院文庫のうち日本人による著作の電子化は、国文学研究資料館が実施する「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」(略称:歴史的典籍NW事業)に拠点大学として参加して実施しています。
一部の資料の電子化は、 科学研究費助成事業研究成果公開促進費(データベース)(JP19HP8002、JP20HP8001、JP22HP8002、JP23HP8002)の助成を受けています。