京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 大学

《この作品について》

大学 だいがく - 紀元前 5 世紀頃

 大学は、いわゆる四書(論語・孟子・中庸・大学)のひとつです。もともとは礼記(五経のひとつ)の中の一部分であったのですが、その内容が非常に重要とされ、のちに独立した一篇として扱われるようになりました。
 本文は 2000 字に満たない短いものですが、儒教思想の根幹が的確にあらわされています。特に宋の時代・11 - 12 世紀には、論語・孟子とならんで儒学の中枢に値する書とされ、「身を修むるにはまさに大学の序を学ぶべし、大学は聖人の完書なり」と評価されていました。
 その基本思想は、自ら学問を修めることによって、国家・政治・人をよく治めるべきである、というものです。帝王学・政治哲学と道徳・修養を兼ねたものと考えられます。
 日本でも儒学のための概論・入門的な書として、長く重視されてきました。ちなみに、二宮金次郎の像が手にもっているあの本は、『大学』であるといわれています。

 

大学(清家文庫)の冒頭。
大学(清家文庫)の冒頭。
「大学の道は、明徳をあきらかにするにあり。民に親しむにあり。至善にとどまるにあり。」

 

《画像&資料について》

 上の画像は、永正 11(1514)年に清原宣賢によって書き写された、大学の写本です。この本文は、もともと中国・宋の朱熹(朱子学の創始者)が解説文を書き加えたものですが、書写した清原宣賢はさらにたくさんの訓点やヨミを書き入れています。清家文庫におさめられている貴重書です。

●[大学章句(清家文庫)]

 

《もっと知りたい》

【関連書籍】
大学 / 宇野哲人全訳注 (講談社学術文庫)
大学 ; 中庸 / 赤塚忠著 (新釈漢文大系 ; 2)

 

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