京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 竹取物語

《この作品について》

 

竹取物語 平安時代


 『竹取物語』は、平安時代初期に成立した物語と考えられています。作者は未詳です。「かぐや姫」として現在もよく知られているものです。
 竹取の翁が竹の中で見つけた女の子が3ヶ月ほどでこの世のものとは思えないほどの美しい娘に成長し、「なよ竹のかぐや姫」と呼ばれること、5人の公達や帝から求婚されること、8月 15 日の夜にかぐや姫が月へ帰ることなどの話が語られています。最後の場面では、月に帰るかぐや姫が帝に文と不老不死の薬を渡します。悲しみにくれる帝は、これをかぐや姫が昇った天に一番近い山、つまり日本で最も高い山で焼かせます。その後、その山は「富士の山(不死の山)」と呼ばれるようになったと書かれています。
 『源氏物語』絵合巻には、「物語の出で来はじめの祖なる竹取物語」と書かれています。日本の小説史の始まりとなる作品で、後の作品に大きな影響を与えました。

 

『竹取物語抄』(谷村文庫蔵)上。
『竹取物語抄』(谷村文庫蔵)上。
求婚してきた五人の公達に、翁が「それぞれに指定した物を持ってきた人と結婚する」というかぐや姫の言葉を伝える。


《画像&資料について》

 上の画像は、谷村文庫に所蔵されている小山儀著・入江昌喜補注の『竹取物語抄』です。小山儀の遺稿を、入江昌喜が整理し、頭注をつけた『竹取物語』の注釈書で、天明4年(1784)に刊行されました。巻末には小山儀の弟による漢文跋がつけられています。
 この画像は、求婚してきた五人の公達に、翁が「それぞれに指定した物を持ってきた人と結婚する」というかぐや姫の言葉を伝える場面です(ちなみに、この五人の公達のうち、三人は実在の人物がモデルとなっているといわれます)。本文のあと、一字下げて小山儀による注釈がつけられ、上に入江昌喜の頭注があります。
 江戸時代になると、『竹取物語』は、特に活字本で流布しました。その一方で、研究も進められ、『竹取物語抄』以降、多くの注釈書が出されています。

●[竹取物語抄 2巻・谷村文庫]

 

《もっと知りたい》

【関連書籍】
大庭みな子の竹取物語・伊勢物語 / 大庭みな子著(集英社文庫 ; わたしの古典)
竹取物語 / 川端康成 [現代語] 訳 ; ドナルド・キーン英訳 ; 宮田雅之剪画(講談社インターナショナル)
竹取物語(角川ソフィア文庫 ; 93 . ビギナーズ・クラシックス)

【Web】
竹取物語への招待

 

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