京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: とりかへばや
《この作品について》
とりかへばや 平安時代末期
『とりかへばや』は、『とりかへばや物語』とも呼ばれる、平安時代末期に作られた物語です。権大納言兼大将には母親のちがう二人の子・兄と妹がいました。兄は女性的な性格、妹は男性的な性格であったため、父は二人を「とりかへばや(取り替えたい)」と嘆きます。ここから、この書名がつけられました。父の思い通り、兄は姫君(女)として、妹は若君(男)として育てられます。成長後、そのことによる様々な苦難もありますが、最終的にはもとの姿にもどり、幸せに暮らします。
本作品には様々な形の愛情が描かれています。『とりかへばや』の影響を受けた作品は多く、特に主人公の男装・女装という趣向を取り入れた『在明の別』(平安時代最末期)や『奴の小まん』(柳亭種彦著・江戸時代)などにはその影響が色濃く見られます。
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「いつのころにか、権大納言にて大将をかけ給へる人…」
《画像&資料について》
上の画像は、『とりかへばや』の写本です。書写年は不明ですが、おそらく、江戸時代のものと思われます。4巻4冊あり、現在は平松文庫に所蔵されています。
●[とりかへはや 4巻・平松文庫]
《もっと知りたい》
【関連書籍】
●とりかえばや物語 / 中村真一郎訳(ちくま文庫)
●とりかへばや、男と女 / 河合隼雄著(新潮文庫 ; か-27-1)
●ざ・ちぇんじ! : 新釈とりかえばや物語 前編;後編 / 氷室冴子著(集英社文庫 ; コバルトシリーズ)
【Web】
●想綴庵 とりかへばや物語ファンサイト
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