京都大学所蔵資料でたどる文学史年表: 坤輿萬國全圖
《この作品について》
坤輿万国全図 こんよばんこくぜんず - 江戸時代・1771
中国・明の時代、イタリア人で耶蘇会士のマテオ・リッチが、中国にヨーロッパの世界地図を伝えます。これをもとにして、1602 年、李之藻が漢訳して作り、刊行された地図が『坤輿万国全図』です。
マテオ・リッチは、利瑪竇(りまとう)という中国名をもち、1601 年に北京に入って布教活動を行いました。天文学や地理学を伝えたのは、西洋の学問が優れていることを人々に知らしめ、これによって布教を進めようと考えたものと思われます。
『坤輿万国全図』は、中国を中心として、大変詳細に描かれた世界地図です。日本には江戸時代の初期に持ち込まれ、模写されました。鎖国下の日本にとって、世界の地理を知る貴重な資料であったことは間違いありません。
ここに描かれている地理は、現在の目からみると誤りも多くあります。たとえば、南半球に南極やオーストラリアを含むような巨大な大陸「墨瓦蝋泥加(メガラニカ)」が描かれており、このような大陸の存在が信じられていたといういたことがわかります。当時の人々の世界に対する認識を知ることができ、その点でも貴重なものといえるでしょう。
《画像&資料について》
上の画像は、一般貴重書として収められている、『坤輿万国全図』です。木版刷りで、6幅1組の屏風仕立てのものでした(現在は軸装され、6軸に分かれています)。
模写本はいくつか見られますが、そのもととなった木版刷りのものは、大変貴重で、現在、世界でも数点、日本では京都大学附属図書館に所蔵されているものを含めて3点が確認されているのみです。
●[坤輿萬國全圖・一般貴重書]
《もっと知りたい》
【関連書籍】
世界図遊覧 : 坤輿万国全図と東アジア(土浦市立博物館第16回特別展)
図説世界古地図コレクション / 三好唯義編(ふくろうの本)
【Web】
神戸市立博物館名品撰・古い地図描かれた日本と世界
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