[謡抄] 10巻

刊。謡曲百二番の語句を摘出して詳解したるものなり。無匡片仮名版にて版心上部に曲名第一字と丁数を附す。又十曲の末に「台林刊(大原御幸、船弁慶)或は「台林刊行(難波、槿、三輪、蜑、浮舟、姨棄、鵺、鵜飼)とあり。蓋し台林は慶長二十年より元和二年春まで徳川家康の駿河版刊行に際し京都より下りて事に従ひし者なれば本書は恐らくその帰洛後に刊行せるものならん。伝本甚だ稀にして珍重すべきものなり。重成の朱印及び主松庵の墨書あり。何れも旧蔵者なるもその人は詳ならず。各巻頭に「虚受庫」「重成」の朱印あり。版心上部には曲名略号を附す。必ずしも第一字にはあらず。(出典: 鈴鹿目録中巻 p.79)