ねごとくさ 2巻

絵入。伝本甚だ稀なる浮世草子。大田南畝の旧蔵にして大田氏蔵書及び南畝文庫の印を捺す。又南畝の自筆蔵識(朱筆)あり。「文化十二年乙亥仲秋於/萬筵堂収得 杏花園 印」。本書は三河国吉田の辺りに住む「よすけ」と云うやせおとこが友「きんなひ」と共に旅して、途中「松風」といふ女を見初め、恋が叶ったと思うとそれは春の夜の夢であったという筋で、中世風の恋愛小説に当世味を加えた過渡的作品である。(出典: 鈴鹿目録中巻 p.104)