付喪神絵巻 2巻

「付喪神」(つくもがみ)は、暮れの煤払いで捨てられたことに腹を立て、妖物に変化した古道具たちが、人間への復讐を図って悪さをするも、最後には改心、仏門での修行を経て成仏を果たすというもの。

康保の頃、暮れの煤払いで捨てられた古道具たちが人間への復讐を図って、数珠一連の制止も聞かず、古文先生の教えに従って妖物と変じる。船岡山の後ろに群拠し、都へ出ては悪さをする。変化大明神を祀り、卯月五日に一条大路を行列した折、関白に行き会って尊勝陀羅尼の威力に退散する。さらに護法童子の追討を受けて改心、一連のもとで修行し成仏を果たす。(出典:『京都大学附属図書館創立百周年記念公開展示会図録』より)

室町時代の成立。古道具という非情物の成仏を描き、真言密教の優性を説く。本書は近世の模本であるが、器物の妖怪という設定は『百鬼夜行絵巻』にも通じる。(出典:『京都大学附属図書館創立百周年記念公開展示会図録』より)

筆者を明かにせず。徳川時代末期のもの歟。彩色を施し粘写せり。下巻奥に「写本云/此付喪神上下二巻之絵巻書写卆詞書者僧義拙書之/寛文六年月日/頼業」とあり。更に跋語ありしも殆ど欠けて、その伝写の由来等不明なるは惜しむべし。古織物を以て表装す。大行満願海の旧蔵なればその絵は或は親友冷泉為恭にてもやと推量せらる。奉阿阿都山寺流芳万年大行満願海及び大行満願海蔵の印記あり。(出典: 鈴鹿目録下巻 p.117)