平野国臣像

通稱次郎、旭櫻と號し、福岡藩士である。夙に身を國事に委ね、皇威の振張に報效した。文久二年四月、伏見寺田屋の變に坐して罪を獲、福岡の獄に投ぜられ、翌春、赦されて上洛、攘夷討幕の説を主唱した。十月澤宣嘉を擁して生野に義兵を擧げたが、敗れて復た幽囚の身となり、京都に護送され、元治甲子の變に際し、六角の獄中に斬られた。年三十七。本畫像は神坂雪佳の筆に成り、獄裡呻吟中紙捻の文字作製に餘念なき彼の風貌を寫したものである。(出典:『尊攘遺芳』)