ここでは、彩り鮮やかな挿絵のある奈良絵本をご紹介します。
1999年に開催された平成11年度京都大学附属図書館創立100周年記念公開展示会では、「お伽草子 -物語の玉手箱-」として、美しく彩色された挿図の奈良絵本を中心に、約90点を展示しました。お伽草子(おとぎぞうし)というのは、室町時代から江戸時代初期にかけて作られた物語草子の総称で、室町時代物語あるいは中世小説とも呼ばれ、およそ400種以上といわれています。京都大学の所蔵は、附属図書館、文学部、総合人間学部をあわせ90種、136点となります。
参考: 「お伽草子 -物語の玉手箱- 京都大学附属図書館創立百周年記念公開展示会」(『京都大学所蔵お伽草子目録(解題付)』を収録)
挿絵とあらすじで楽しむお伽草子
お伽草子は大人も子供も楽しめる物語です。室町時代や江戸時代の人たちは、ひとりでわくわくしながらページをめくったり、誰かに読んでもらったり、いろいろなスタイルでお話を楽しんでいました。その最大の楽しみのひとつは、何と言っても美しい彩色の施された挿絵でしょう。
京都大学附属図書館には、色鮮やかな挿絵のお伽草子がたくさん所蔵されています。昔の人たちと同じような楽しみを味わっていただくために、物語のあらすじに、このきれいな挿絵をつけて、絵本仕立てにしてみました。あらすじは、古文は苦手、何を言っているのかさっぱりわからない、でもお話の内容は知りたい、という方のために、わかりやすさを一番に考えました。厳密な現代語訳というわけではありませんが、お話の雰囲気が伝わるように工夫してあります。絵本を読むように楽しんでいただければ幸いです。